「あぁ、いらっしゃい」
赤鉄の飛脚さん。
名前は月っていったっけ、まぁいいや。名前なんて区別分類する為の目安でしかないもの。ましてや人間皆同じ形性格じゃないんだから別にいいじゃない、それだってわかれば。
「ちゃんと届けたぞ」
「うん、知ってる。君が無事な姿で僕の前に現れたって事は中身を開けないでちゃんと彼に届けたって事だからね。開けてたら今頃君は焼け死んでる」
「おっそろしー」
目的の人物が開かないと、ブツは開けた人ごと燃えるようにしておいた。バレたら困るもの。
暫くはこの月っていう赤鉄の飛脚にお世話になるかな。
「はい、代金」
「……ん?多くないか。まぁくれるならいいけど」
「これからも『色々と』お世話になるからね」
「…まいど」
にっこりと威圧したら、少し引かれた。
まぁ、見た目は子供だから仕方無い。怖い顔とか、威圧感とか出るとは誰も思わない。ま、便利って言えば便利だよね。
あぁ、そうだ後
「連れて来てくれたよね?」
「あぁ」
彼の後ろから怖ず怖ずと顔を出す、僕の可愛い大切な
「おいで、裡屠」
愚弟。
「はい、兄様」
いい子だね、と頭を撫でてやれば裡屠は戸惑いの笑みを浮かべた。
月が少し心配そうに裡屠を見ていた。大丈夫、取って食いはしないよ。
「ありがとうございます、月さん」
律儀に頭を下げる。出来た弟だとは僕も思う。誰が躾したんだか。
ま、凶暴になった方が人間らしいけどね。
月は仕事だからいいんだよ、と裡屠に頭を上げさせた。赤鉄の人達は仲よしなんだね。
「ありがとう、飛脚さん。お茶でも飲んで行きなよ」
そう言って僕は家の扉を開けた。
PR