力が欲しい、と思った。
大切な彼女の体に傷が増える度に。
「ねぇ、」
守りたい、と思った。
大切な彼女が雨に震えているのを見る度に。
「ねぇ」
抱きしめたい、と思った。
大切な彼女がいなくなってしまわないように。
「ねぇ」
キスしたい、と思った。
大切な彼女が自分の名を呼ぶ度に。
「愛してる」
愛しい、と思った。
大切な彼女が目の前で顔を真っ赤にしているから。
「愛してる、」
「待って!!はっ…反則よっ…!!」
「だって本当の事だし」
掠れる自分の声、綺麗な彼女の声。
ねぇ、愛してるよ。
「オネーサンは?」
「え?」
「俺の事、愛してる?」
わざとらしく微笑めば、更に顔を真っ赤にさせて。
嗚呼、もう、本当に愛しい。
「分かってるでしょっ!!」
「…ワカンナイなぁ」
俺、ちょっとイジワル?
だって聞きたいんだ、貴女の口から直接、ね。
「それとも俺の事、嫌い?」
「えぇ!!えと、え…と、あ…愛して…る…」
合格。
ご褒美にちょん、とキスすれば更に顔を赤くして、
「じ…ジャックなんて知らないっ!!」
なんて言って走って行ってしまった。
イジメ過ぎちゃったかな?
やれやれ、追い付いたらパフェでも奢ってあげるから。だから機嫌、直してよね。
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