国語の授業。
読み書きは出来るもんだから、基礎は退屈で仕方ない。早く応用がやりたい。だけど、国語は好きだから別に構わないとも思う。
誰かに教わると新しい発見とか、自分の間違えた知識とかが見付かってタメにもなるし。悪くは無い。
だけどユーリの授業はちらほら寝てる奴がいる。別に留年しようがテスト前で慌てようが俺には関係無い。起こす義理もない。
今日は何人寝たか、ノートの片隅のメモ。正確に言えば紙飛行機を当てた人数。
さて今日も元気に的当てゲーム。寝てる人に当てたら10点、別の人に当てたら-30点。
一通り遊んで黒板に目をやる。ユーリはスラスラと字を書いていた。よしこれはバレてないな。
ユーリの板書が終わるまで的当てを再開した、今日は40点。
説明を聞きながらノートをちゃっちゃと書き直す。今回は結構間違えてたな、ちょっと遊び過ぎたかなやっべ。
「ここは…」
ユーリの授業は進みがゆっくりだ。
この学校に入った奴の中で文字の読み書きが出来る奴は楽過ぎて暇だろう。だけど、皆が皆そうじゃあ無い。全く出来ない奴だっているんだ。そう考えると、調度いいペースなんだろうと思った。
ふと、ユーリが違う方向を向いた。
最後の的、チャンスは一度。馨選手、投げました。
「…?」
見事頭に着地しました。流石俺。
フフン。
「かおりく~ん?授業中に紙飛行機を投げてはいけませんよ?」
「ユーリ、そこわかんねぇ」
「次から質問がある時は手を挙げて下さいね」
返事はしなかった。さっさと自分の疑問点を投げかける。
残念ながら、今後も俺は手を挙げて質問するつもりは無かった。
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