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【2024/05/19 15:28 】 |
独白

R.N!企画
クレセアの話

嗚呼、今日も眠れない。
もう何日寝ていないのだろうか、数えるのも億劫だし、数える必要も無い。
寝た所で襲い掛かる悪夢は、傷をえぐり、体力を奪い、俺を無理矢理現実へと追いやる。
子供の頃は精神安定剤なんて沢山投与されてたが、そんなもの効かない位に悪夢は強かった。

暴れ、喚き、ボロボロになった俺を抑えつけたのは誰だったか。
腕に刺された針の感覚、注入される薬、ぼんやりしていく視界、襲う闇。
つかの間の睡眠は悪夢に破られ、また暴れ狂った。


『出せっ!!ここから出せええぇぇええ!!!!』


軋む檻、血が飛び散る壁。ろくに飯も喰わずに暴れ続けた。
誰だったか、このままじゃ死ぬ、と俺に言ったのは。
本当に死にかけて病院に運ばれたわけだったが。


アルジェントアラに入ってからも。
ずっと悪夢は隣にいた。


『お父さん!!』


悪夢への恐怖に一度、昔に貰った精神安定剤を全部飲んだ事がある。瓶に一杯詰め込まれた錠剤を全て体へ。
頭がグラグラし、体は冷え、冷や汗が止まらず、異常なまでの吐き気に立つ事も出来ず、倒れた。
だが、悪夢はそんな時でも俺を現実へと追いやった。
目が覚めた瞬間、酷い吐き気と倦怠感に襲われ、動かない体を叱咤してトイレまで這って行って吐いたのだ。


薬など無意味な事がわかった。


『殺してやる』


幼い頃からの精神安定剤。
それがマフィア殺し。
家族を奪ったマフィアに復讐する事が俺の生きる理由だった。
幼い俺は『マフィア』というものが家族を奪ったものだと思っていたから、マフィアと聞いたら皆、殺した。

今は家族を奪った奴が『マフィア』であったという事は理解している。
だが、刷り込みは恐ろしい。
『マフィア』は皆殺さないと済まないようになってしまった。


『殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる!!』


憎しみは止まらなかった。


『同じ苦しみを味あわせてやる!!』


奴らにも仲間や家族がいるのを知っていて、俺はそう笑ってた。
何処かが狂ってたんだ、きっと。
流石に今は、何もしていない奴は殺す事はしない。捕まえるだけ。
裁判で殺し専門は死刑。盗み専門などは懲役。
俺が殺すこともない。


『本当は違うくせに』


そう。でも、でもだ。
殺せないマフィアが現れたらどうする?
例えば、仲間の友人、恋人、家族。
仲間と俺の憎しみ、天秤にかけたら勿
論仲間のほうが大切だ。
けど、だけど。
幼い頃からの憎しみは、そう簡単に黙っちゃくれない。『殺せ殺せ』と俺に言う。
仲間の悲しむ顔なんか見たく無いのに。
仲間を失う事を恐れてるのに。


『嗚呼、どうすれば!!』


簡単な事だ。
手を握って、握って、血が出ても握って耐えるだけさ。




(だって皆幸せそうに笑うんだ)
(それを奪う権利は無いだろ?)
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【2010/02/01 22:12 】 | R.N!企画 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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