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【2024/05/19 15:41 】 |
君と世界が見たいんだ

R.N!企画
クラウディアちゃん、クロチェ君お借りしました。

暖かい春の日だった。


「凄い…」


ヒラヒラと、それは儚く、そして美しく舞い散る花の最期。
小高い丘に立つのは見事な山櫻。
樹齢何百年の樹が咲かす一瞬の花の命、その矛盾の中に美しさを人は見る。
否、矛盾が無いとその美しさは存在し得ない。
そう、昔の人が言っていた気がする。


「クロチェ~!!」

「今行くよ~!!」


樹の下で大きく手を振るのはクラウ。そして手にはお弁当。
花より団子…違った、お弁当かな。
でもそんな事言ったら怒られちゃうかな。


「ご飯ご飯~!!」

「うん、お腹空いたね」


クラウは美味しそうにお弁当を頬張ってる。
ふわり、とクラウのコップの中に一枚の花弁が舞い降りてきた。
驚いたようにそれを眺め、初めて櫻の樹があったかのように、それを見上げた。


「ネェ、クロチェ」

「ん?」

「櫻って、綺麗?」


クラウは空を見た事が無かった。


遺伝か、はたまたその虚弱な体質からか、本当の空の色を知らなかった。
見える世界は、サングラス越しの暗い世界ばかり。
だけどクラウは笑ってる。
クラウにとって、サングラス越しの暗い世界でも、楽しく、幸せなものなのだ、と。


「綺麗だよ」

「うん、キレイ。ヒラヒラヒラヒラ」



クラウはにっこりと笑った。


「櫻ってどんな色なんだろうネ」


たまに、儚く笑う。
そんなクラウを櫻に例えるなんて、出来ない。

花びらはすぐに散ってしまうじゃないか!!

そうだ。クラウは花じゃない、俺の大切な人、なんだ。


「ねぇ、クラウ」

「ン?」

「また夜にさ、ここに来ようよ。そうすればクラウも肉眼で櫻が見れる」

「え…デモ…」

「大丈夫、櫻は見える」


ぼんやりと暗闇に浮かぶ夜櫻もまた、綺麗だから。


「クラウに見せてあげたいんだ」


本当の色を。
世界を。


「…うん!!」


そう言って笑ったクラウの笑顔。
俺の一番大好きな、幸せな笑顔。


「あ、でもノークトに怒られちゃうヨ!!」

「こっそり抜け出して来るから、ね?」

「……」

「大丈夫だよ」

「うんっ!!」


それが世界の中でほんの少しの物でも。
大切な君に、見せてあげたい。
一緒に見たい、僕達が生きている世界を。




櫻の木の下、幸せそうに寄り添い眠る二人。
見ているのは空と山櫻だけ。
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【2010/02/01 22:11 】 | R.N!企画 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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