「寒いです」
「寒い」
「寒いねぇ」
「パパの格好は見てるだけで寒いですぅ、出ていって下さい」
「あ、姉上!!はっ…父上もそんなに落ち込まないで下さい!!」
「そうですよー、うざいですぅ」
他の方には見せられませんね、このようにいじけて部屋の隅で体育座りしている父上の姿は。
何時もは何があっても微動だにしない強靭な精神の持ち主である父上も、僕や姉上にはとことん甘いのです。
「………」
「ストラー、ストーブは?」
「姉上が父上と喧嘩して投げて壊しました」
「………」
「………」
「…ん?暖炉無かったっけ。前俺来た時」
「ストラが暴れて壊したんですぅ。全く、パパは大切な時にいないんですからぁ役に立ちません」
父上はまた隅で体育座りを始めました。
父上は悪く無いんです、僕が悪いんです。
でも今日は凄く寒いです、姉上のツンデレてる毒舌も素晴らしいです。父上の口から魂が出ているのが見えます。
「父上ぇ~しっかりして下さい~!!」
ゆさゆさ。
…………………
ゆさゆさ。
…………………
ゆさ…
…………………
………
「す、すーちゃん…?どうしたん…急に……」
「あったかいです~…」
父上暖かいです、凄く暖かいです。
湯たんぽみたいです、ぺっとりです。
姉上の唸り声が聞こえます。
「姉上もこっち来て下さい~」
「……むぅ、」
そろそろと姉上もぺっとりです。
姉上も暖かいです。
「ストラが言うから仕方なく!!ですぅ」
姉上相変わらずのツンデレです。きっと父上に甘えたいのです。
だって僕にくっつけばいいのに父上の方にくっついてるのですから。
「はいはい」
父上が苦笑するのが気配で分かりました。
でもきっと父上もわかっているのです、姉上がツンデレな事を。
父上が僕達を抱えた時は、「調子に乗らないで欲しいですぅ」と口で言っていましたが、何もしないのです。
暖かくなったらツンして父上をボコボコにするのでしょうね。そして僕は姉上を止めて父上を慰めるのです。
ずっと寒かったら、ずっと父上はいてくれるのでしょうか?
そうならずっと寒いままでいいのです。
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