「まったく、」
死体を端に寄せてため息。
ウェルはなんだ、とでも言うように俺を見ていた。
「ウェル死んじゃうよ?この世界は殺らなきゃ殺られる、それはウェルのが良く分かってるはず」
「……」
「それでも、殺さない?」
「否、殺されない」
へぇ、そう返すとは思わなかった。ちょっと意外だったりする。
辺りに蔓延る死の臭い、銃口から出る硝煙、そして殺気。
「じゃあさ、どうするか」
カチャ、と四方からする音。
「随分とお客さんが来たなぁ」
「…はぁ、さっき巻いたと思ったのに」
さっき殺った奴の仲間か。しつこいよ、まったく。そんなにウェルが運んでるものって危ないものなのかね。
そんな状況でも、ウェルは涼しい顔をしてる。
「あぁもう、俺死にたくないなぁ…」
「…殺されなければいい」
「撃つの?」
「自分の身が守れれば充分だ」
「荷物もね」
じゃあ、やろうか。
どっかの怖い首領に比べたらこんな下っ端、へでも無い…と思う…。
「大丈夫か?」
「大丈夫だよ」
大丈夫、追いかけっこには慣れてるからね!!
「ちゃちゃっと撃ったら逃げよう!!」
「……」
「何その顔っ!?殺したくないんでしょ?」
だったら逃げよう。
そう言ったらウェルはちょっと笑った気がした。
「ね、ウェルは後ろの奴らどうにかして。俺は前の奴ら止めておくからさ」
「わかった」
「よろしくね」
大丈夫、ウェルなら。
きっと逃げ道作ってくれる。
「さ、行きますか」
一発の銃声が合図。
「んじゃあね、お客様方」
引き金に指をかけた。
PR